当クリニックでは在宅でのお看取りの場面もあります。
最近印象的だったエピソードを…
今年に入って入院。口から食べることが出来なくなった80歳代女性のTさん。自然な形で最後を迎えることを選択され、Tさんの最後の希望は『家に帰りたい』。通常であれば自宅に退院することは困難な状態でしたが、その希望を叶えるべく、ご家族、病院関係者をはじめ、在宅を支える関係者が一丸となり退院に向けて動きました。
無事お家に退院された時のTさんの表情は穏やかで、目をしっかり開けて問いかけに頷いたりもされ、約1週間お家で過ごされました。
亡くなる前日には、入院前まで来ていただいていた音楽療法士による音楽療法を受けられました。大好きだった歌をベットサイドで歌唱してもらい、ご家族や看護師も同席し、懐かしい故郷を思い出したり、思い出に泣き笑いしながら、とても良い時間を過ごされました。
翌日、Tさんは眠るように旅立たれました。きっとご家族の声や生活音を少し遠くに聞きながら、安心して穏やかな気持ちで旅立たれたことでしょう。